遡ること昨年の10月。
私は偶然出会った。
誰に勧められたわけでもなく、ネットの広告に引っ張られたわけでもなく、まるでたどり着くのが必然だったかのように、私はそれを見つけた。
”1番素敵な奇跡”であり続けるあの9人に。
その人たちの名前は「超特急」という名前で活動している、ダンスボーカルグループだ。
なぜ私は超特急に出会ったのか。少し遠回りしながら書かせてほしい。
昨年の9月まで、私は仮面ライダーにハマっていた。当時クライマックスに向け、駆け上がっていた「仮面ライダーリバイス」の沼落ち。
そしてライダーオタクの友人に勧められるままに、他のシリーズもいくつか見るようになっていた。
ちなみに、私は「仮面ライダービルド」と「仮面ライダードライブ」にどハマりした。
特に、「仮面ライダービルド」の万丈龍我と演じられた赤楚衛二さんに目を惹かれてしまうと、私は赤楚さんの他の作品も見るようになった。
「ねぇ、先生知らないの」「彼女はきれいだった」「石子と羽男」「ハクタカ」........
その中でも、ひときわ興味を惹かれたものがあった。
それが、赤楚さん主演の「チェリまほ」だった。
元からBL漫画を好んで読んでいた私だが、ドラマという媒体で受け取るのは初めてで、正直抵抗感が強く存在していた。
しかし、それよりも赤楚さんの演技が見たいという一心に、アマプラで一気見をした。
その結果、私はリクエスト上映している映画館に駆け込んだくらい「チェリまほ」にどっぷり浸かった。端的に超良かった。
そしてこの作品は何を隠そう、超特急の4号車タクヤさんが草川拓弥という名義でキャストに名を連ねている作品だった。ちなみに、このときは六角くんの中の人にこんなにハマると思ってなかった、マジで。
しかし、エンドロールの「草川拓弥(超特急)」というフォントがなぜか強く印象的だった。たぶん、根が生粋のテレビっ子だった私の脳みそが刺激されたんだと思う。
超特急。
誰の顔も思い出せないけど、とても懐かしい響きだった。過去の出演番組を調べたときにわかったが、めざましライブやめちゃイケにも出ていたという。当時の私は毎朝めざましテレビを見ながら支度をする学生だったが、確かにハロウィンでまあまあ引くぐらいの高クオリティのコスプレをする7人組の若い男の子がいたことは微かに覚えていた。
話を戻す。
結論からいうと私は「みなと商事コインランドリー」(以下、みなしょー)で草川拓弥さんに興味を持つことになる。ドラマを見たきっかけみたいなものはいくつかの理由が存在するが、1番は、
仮面ライダードライブに出てた稲葉友さん、仮面ライダーリバイスに出てた奥智哉さんが出ているドラマ……………だと……………!?
というライダーオタク人格の私が反応したからだ。
そこから見始めた「みなしょー」、これがまたまたびっくりするほど面白かった。
作品の魅力を伝えようとするとそれだけで何千字も書ける気がするのでそれは別の機会にするとして、とにかく清潔感があって、2人の純粋な心の揺れ動きが丁寧に描かれているところがとても好きだった。
主人公の湊晃さんを草川さんが演じてらっしゃったわけだが、六角の中の人だと頭で認識しても、その情報を信用できないくらい、彼は「湊晃」だった。人懐っこくて、商店街のみんなから愛されていて、面倒見のいいお兄さんにしか見えなかった。
シンにガツガツこられることを戸惑いながらも拒否できない可愛らしさがめっちゃ好きだったし、シンの作るアジフライや塩辛に頬を緩ませる表情が愛おしすぎた。
私はそれを観ながら終始、気持ち悪い笑顔をしていたと思う。
六角もかわいいキャラだったが、どちらかといえば"後輩""最近の若者"というキャラデザで、湊晃のような”大人の男性”という肩書きとは真逆の立ち位置だったように感じた。しかし、どちらも素敵なお芝居をしていて、これからも草川さんの演技を見たいなと思ってしまうくらい好きだった。
そんなこんなで「みなしょー」の最終回を泣きながら見終えた私は、そのあと草川さんが役に入らず(素の状態)でお話している場面を見たいと思った。
これは私のルーティン的な話ではあるのだが、ドラマ作品は全部見終わってから役者さんのインタビューを、記事や動画などで摂取する。どんな解釈で作品や役に向きあってお芝居をしていたのか気になるからだ。その中で、役者さんたちの性格を少しでも知れたら、役者さんを媒体にした役のことをもっと深く知れる気になる。"知れる気になっている"だけということもわかっているのだけれど、役(キャラクター)と役者さんの関係を考える時間が大好きだった。
でも「みなしょー」の場合は少し違った。普段なら、作品の話をしている役者さんを見て満足していたのだが、それ以上に草川さんを姿を見て驚いてしまったのである。
「え、誰」
私の頭にある草川さんの姿は、茶髪で癖っ毛があって少しボサボサの眉毛のお兄ちゃん。しかし、調べて見つけた彼は、めっっっちゃ髪短いし黒髪だし、ぶっちゃけ知らん人だった。
知らん人とは言い過ぎだが、それくらい別人に見えた。少なくとも私の頭にあった湊晃の姿はなかった。(隣にいた西垣さんのビジュアルが役とあまり変わってなかったのも原因にあると思う)
普通なら、キャラクターと役者自身の似てるところがあったり同じ顔なんだから同一人物に見えるはず(見えるというより同じ)なのに、私には草川拓弥という役者が湊晃を演じているように思えなかった。それくらい髪型やメイク、いでたちの中に湊晃がいなかった。
いやいや、同じ顔なのに湊晃に見えないって何事だ。草川拓弥さん、おもしれー男すぎる………。
そこから私は、草川さんがどんな人なのかというところにとても興味を持った。
ここから、私は必然的に彼がいる超特急について調べるようになる。
私が調べたのは10月初め、すでに新メンバーは加入後だったが、「超チューバー」を見始めた私は、5人体制の動画ばかり見ていた。新メンバーのことも、脱退した方がいるのもあまり興味がなかった。
私の目的はただ、草川さんの性格が湊晃とどんなふうにリンクしているのか、なぜこの人が湊晃として生きることなったのか。その必然性を探す、それだけだったから。
しかし、たくさんの動画を身漁っていくうちに超特急を徐々に好きになっていく。調べれば調べるほ、5人の愛嬌と親しみやすさあふれる姿に好感を持つようになる。
初めて超特急のことを気になって調べ出したその日に書いた自分の日記には、
超特急のことが書いてあった。
タクヤくんの可愛さと男らしさを兼ね備えた感じとか
カイくんの優しくて癒される感じなのに、しっかり周り見てる感じとか
リョウガくんのリーダーとしていつでも先頭に立ってる感じとか
ユーキくんの信頼と実績のパフォーマンス力とか
タカシくんのみんなを優しく見つめてるけど努力家なところとか
みんなが各々魅力に溢れていて、かっこよくて素敵な価値観の持ち主なんだけど、すごく謙虚な人たちっていう印象がある。
ファンはすごく幸せなグループに愛されているんだなって思う。
人に見せる用に文章を書いてないので若干拙さがあるのが申し訳ないし、個人的に解釈違いを起こす方もいるだろうが、ご了承いただきたい。私もおそらく今同じような形式で書かと言われたら、全く違う視点から文章をこの10倍くらいの文字数で書く自信はある。
しかし、"ファンはすごく幸せなグループに愛されているんだと思う"という言葉は、今このブログを書いてる私も強く感じる。こんなにファン思いなグループいないだろと。
話を少し変える。
仮面ライダーにハマったのは9月までという話を先ほどもしたが、この9月までというのには理由があった。それは、私が大学4年生で残り2ヶ月で卒論を完成させるという追い込み時期に入ったからだ。加えて、来年からの社会人として通勤するために車の免許を取らなければいけなかった。
卒論と教習所とバイトというマルチタスクで10月から絶賛多忙に多忙を極めていた。
私の心は仮面ライダーを見るほどの余裕はなく、目の前のことを一つ一つ片付けることで精一杯だった。
そして、もう一つ気持ちが大きく揺らぐことがあった。
友人との絶縁。その絶縁は、喧嘩別れからの絶交や微妙な関係性で仲が自然消滅したというようなものではなく、定期的に楽しく話していた大好きな友人と一生会えなくなるというものだった。
過労による心身の疲れ、大切な友人との一生の別れ。
静かに漂う「死」という言葉に体が引っ張られ、気を抜くと底なしの暗闇に沈みそうになった。
そんなある日、私はたまたまバイトの帰り道にあるCDショップに立ち寄っていた。
特に理由があったわけではない。ただ、超特急を知って、他のグループのことも知りたくなったのかもしれない。このときは頭で考えて行動していなかったのでうろ覚えだ。
そして、私は超特急の「DANCE DANCE DANCE」のライブ円盤を見つける。
1個くらい持っててもいいか。超特急ってライブが真骨頂っていうし、もしこのまま興味が無くなっても、記念に買ってもいいよね。
今思えば、行動が沼に片足突っ込んでるじゃんと言いたいところだが、男性アイドルを好きになるという行為自体初めてだった私は、まだその事実から目を逸らしていた。
そして「DDD」の円盤を買った。その日の夜、私はバイトで疲れた体を休ませながら「DDD」の円盤を再生させた。
なんだこれ。私はYouTubeでは聞いたことない曲たちやメンバーの見たことないキラキラした姿に驚いた。
やっぱプロってすごい。パフォーマンスがうますぎる。ファンのペンライトもとてもキラキラしてて、会場が一体となって超特急を応援しているようだった。
卒論のことも、教習所のことも、バイトのことも、もっといえば将来の不安もこのときは忘れられるような、そんな気がした。
食い入るようにライブを見ていると、あっという間に本編が終わり、アンコールも最後の曲になった。
「みなさんご一緒に、僕たちは」
「「「「「超特急です!!!!!!!」」」」」
5人の言葉が重なって、音楽が鳴り始める。「走れ!!!!!超特急」という名前のこの曲を聴くのは初めてだったけれど、多幸感あふれる曲だった。5人が列になって前の人の肩に手を置き進んでいく、まさに列車を表したダンス。そしてサビに入る。
走れ、走れ超特急で。走れ、走れ、君のもとまで。
「(一緒に行こうよ!)」
ダンサー4人の合いの手が響く。
"一緒に行こう"……この言葉がやけに私の中に響いた。
その言葉と同時に、メンバーが画面の中からいきなり手を伸ばしてくれたような気がした。
歌詞が、声が、5人の笑顔が、私の胸を強く打ち、なぜか涙がボロボロとこぼれた。
いろんなしんどさと迷いが、自分の中で駆け巡ってた日々が超特急の「一緒に行こうよ」という声で、心に光が刺したように感じた。
この人たちのいる未来に一緒に行きたい。
超特急が、私の周りを漂っていた「死」の気配を跡形もなく消し去り、前を向かせてくれた。
このとき私は初めて、自分も8号車になってもっと超特急を好きになりたいと思った。
今は縋り付くように好きになったけれどいつかは超特急にも胸を張って生きられる自分になりたい、なんて思ってしまった。